心電図 さまざまな誘導

救命士のための
現場心電図ガイド

3点誘導を使いこなし、的確な判断へ

救命士の皆さんへ

現場で役立つ知識のアップデート、素晴らしいですね!このガイドは、心電図の基礎から現場モニターで役立つ応用的な誘導法まで、明日からの活動に活かせる知識をまとめたものです。傷病者の状態を的確に把握し、適切な初期対応や医師への情報伝達を行うために、ぜひご活用ください。

1. 心電図の基本
心臓からのメッセージを読み解く

心電図の基本は、P波(心房の興奮)、QRS波(心室の興奮)、T波(心室の回復)が心臓のどの動きに対応するかを理解することです。12誘導心電図は12の視点で心臓を立体的に観察し、異常部位を特定する強力なツールとなります。

アイントーベンの三角形理論

心電図の基本原理。心臓を体の中心点とみなし、両手と左足で作る三角形を基準に電気現象を捉える考え方で、これにより電気軸の概念が生まれました。

2. モニター心電図の応用
3点誘導を使いこなす

なぜ双極胸部誘導が現場で役立つのか?

目的は「ノイズを減らし、見たい情報を強調する」ことです。傷病者の体動や呼吸による波形の揺れを抑え、不整脈や虚血の判断に必要な特定の波形をクリアに捉えることができます。

現場で使える代表的な誘導法

プラス電極 (+)+マイナス電極 (-)

MCL₁ 誘導

頻拍の鑑別に最強

(+)電極: 胸骨右縁 第4肋間

(-)電極: 左肩下(鎖骨中線)

QRS波の形がV₁に似るため、心室性か上室性かの判断材料になります。頻拍性不整脈に遭遇した際の大きな助けとなります。

プラス電極 (+)+マイナス電極 (-)

CM₅ 誘導

胸痛を訴える傷病者に

(+)電極: V₅の位置(左前腋窩線 第5肋間)

(-)電極: 胸骨柄

ST変化を捉えやすく、心筋虚血の評価に役立ちます。

プラス電極 (+)+マイナス電極 (-)

NASA 誘導

P波が見たい時に

(+)電極: 剣状突起

(-)電極: 胸骨柄

体動ノイズに非常に強く、心房活動の評価や原因不明の頻拍/徐脈でP波を探すのに有用です。

まとめと現場での報告

これらの誘導法は特別な機材は不要で、電極の貼り方を変えるだけで実践できます。医師に報告する際も、「MCL₁でモニターしたところ、QRS幅の広い頻拍で、典型的な心室性頻拍の波形でした」と伝えられれば、より的確な情報共有が可能です。今回の内容をマスターして、明日からの現場活動にぜひ活かしてください!